屋根修理の「点検商法」に注意|国民生活センターも警鐘を鳴らす被害の実態

概要

全国の消費生活センターには、
「突然訪ねてきた業者に『屋根が壊れている』と言われた」
「火災保険で修理できると勧誘された」
といった相談が急増しています。

国民生活センターによると、2020年度以降、屋根修理を名目とした点検商法の相談件数が顕著に増加。 特に高齢者世帯を狙った訪問勧誘によるトラブルが目立ちます。 一見親切そうな“無料点検”が、不要な高額工事への入り口となっているケースが多いのです。

被害の典型パターン

  • 「近くで工事をしている」と言って訪問する
  • 屋根に勝手に上がり、「瓦がズレている」「このままだと雨漏りする」と指摘
  • 「すぐ直さないと危険」「火災保険を使えば実質無料」と契約を迫る
  • 実際には修理不要、あるいは工事がずさん・過剰請求

無料点検を装い、現状を不安にさせるのが特徴。 中には自ら屋根材を壊して“壊れている証拠”を作る悪質業者もあります。

相談件数の推移と被害の傾向

国民生活センターのデータでは、屋根修理関連の相談は2019年度頃から増加傾向にあり、 2022年度にはコロナ禍前の約1.5倍に拡大。 被害者の多くは60代以上で、戸建住宅所有者が中心です。

相談の約半数が「訪問販売」経由で、特に台風・地震・豪雨の直後に相談が集中します。 これは「被災便乗型詐欺」と呼ばれ、「災害支援」「保険金申請サポート」などの言葉で 安心感を与えるのが常套手段です。

契約前に確認すべき3つのポイント

  1. 突然訪ねてきた業者とは即契約しない
    一度断り、複数の専門業者に見積もりを取る。
  2. 屋根に登らせない
    勝手に登って破損されるケースがある。写真提示も信用しすぎない。
  3. 火災保険を理由にした勧誘に注意
    保険適用の可否は保険会社が判断。業者が代理で申請する仕組みはない。

もし契約してしまった場合でも、8日以内であれば クーリング・オフが可能(特定商取引法による訪問販売の解除)。

各地で行政処分・逮捕も相次ぐ

東京都や神奈川県では、屋根修理を装ったリフォーム業者に対し、 特定商取引法違反で業務停止命令や業務禁止命令が出されています。 2025年には関東6都県で約7.9億円を荒稼ぎしたグループも摘発されました。

被害は一部地域に限らず、全国的な社会問題といってよい状況です。

被害を防ぐために

  • 屋根の状態が気になる場合は、自分で業者を探して依頼する。
  • 相見積もりを必ず取り、見積書・契約書を必ず確認。
  • 不審な訪問を受けたら、すぐに消費生活センター(188番)へ相談する。

台風・地震など災害の後は「善意を装った訪問」が増えます。
「すぐ直さないと危ない」と言われても、焦らない・契約しない・登らせない。
これが最も確実な防衛策です。

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