2025年11月、大分市佐賀関で発生した大規模な市街地火災。約170棟が被災するという甚大な被害をもたらしましたが、この火災には恐ろしい特徴がありました。
それは「火の粉が海を越えて、約1.4km離れた離島まで飛び火した」という事実です。
「うちは火の元に気をつけているから大丈夫」と思っていても、近隣や遥か遠くから飛んでくる「もらい火」のリスクはゼロではありません。この記事では、大分の事例を教訓に、理不尽な「もらい火」から自宅を守るための法律知識と、屋根の対策について解説します。
1.4kmも飛ぶ「火の粉」の脅威
東京海上ディーアール株式会社のレポートによると、今回の大規模火災は「乾燥」「強風」「木造密集地」という悪条件が重なって拡大しました。
今回の火災では、火の粉が約1.4km離れた離島まで飛んで延焼する極めて珍しい現象が発生しました。これは日本国内でも稀な事例として注目されています。
出典:大分市佐賀関の大規模市街地火災について | 東京海上ディーアール
強風にあおられた火の粉は、想像を絶する距離を飛んでいきます。自宅の周りに火の気がなくても、屋根の隙間や換気口から火の粉が入り込めば、そこから火災が発生(類焼)してしまうのです。
隣家からの火事は「賠償してもらえない」法律の壁
もし、隣の家から火が出て、自分の家が燃えてしまった場合、相手に修理費用を請求できると思いますか?
答えは、原則として「NO(請求できない)」です。
「失火責任法」という特別な法律
日本には「失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)」があり、「重大な過失(重過失)」がない限り、火元は損害賠償責任を負わなくてよいと定められています。
- 普通の不注意(軽過失)の場合:料理中のうっかりミスや配線トラブルなどは、賠償責任が問われません。
- 自分の家はどうする?:自分の加入している「火災保険」を使って直すしかありません。
つまり、「もらい火対策」とは、相手に気をつけてもらうことではなく、自分で防御力を高めておくこと(保険と家の性能)に他なりません。
屋根で防ぐ「飛び火」対策
飛んできた火の粉が最初に降り注ぐのは「屋根」です。屋根が燃えにくい素材であれば、家全体への延焼を食い止められる可能性が高まります。
1. 「不燃材料」の屋根材を選ぶ
現在主流の屋根材の多くは、火に強い「不燃材料」として認定されています。
- スレート(コロニアル):セメントが主成分のため燃えにくい。
- 金属屋根(ガルバリウム鋼板):金属なので燃えない。軽量で耐震性も高い。
- 瓦(日本瓦・洋瓦):陶器なので非常に熱に強い。
※注意が必要なのは、古い「塩ビ製のトタン」や「アスファルトシングル(旧規格)」などです。これらは火に弱い場合があるため、葺き替え検討をおすすめします。
2. 危険な「隙間」を塞ぐ
屋根材そのものは燃えなくても、「隙間」から火の粉が屋根裏(木部)に侵入するのが最も危険なパターンです。
ここをチェック!火の粉の侵入ルート
- 軒天(のきてん)の剥がれ:屋根の裏側(軒天)がベニヤ板のままで剥がれていませんか?防火仕様のケイカル板への張り替えが有効です。
- 雀口(すずめぐち):瓦屋根の軒先にある隙間。ここから鳥だけでなく火の粉も入ります。「面戸(めんど)」でしっかり塞ぐ必要があります。
- 雨樋の落ち葉:乾いた落ち葉は着火剤になります。定期的な清掃が必要です。
まとめ:火災保険と屋根点検で二重の備えを
大分の火災は、決して対岸の火事ではありません。乾燥する冬場は、どこの地域でも同じような大規模火災が起こるリスクがあります。
「自分の家は自分で守る」ために、以下の2点を今すぐ確認しましょう。
- 火災保険の確認:建物評価額に見合った補償額になっているか。「類焼損害特約(自宅から出火した際に近隣へ見舞金を払う特約)」も検討の価値あり。
- 屋根のメンテナンス:燃えやすい部材や、火の粉が入る隙間がないか。
屋根の「隙間」や「素材」が不安な方は、
地元の優良業者に無料点検を依頼してみましょう。
